2010年1月23日

"第九" のデザイン、住宅のデザイン


NHK だかの番組で、フィリップスとソニーによるCD開発秘話をやっておりまして、初めて知ったのですが、CDの音楽データ収録時間が、中途半端な74分になったのは、人類が創造した最高傑作のひとつ、ベートベンの ”第九” (交響曲第9番 二短調 作品125) 4楽章が収録できるようにとのこと。
私は恥ずかしくなりました。今年40歳になるのですが、生涯通じて、第九を──といいますかクラシックを──まともに、一度も聴いたことがなかったのです。
これはある意味ジンセイの喪失ではないかと、第九の CD を買いました、
荏田南から上大岡の会社までクルマで通うので、カーオーディオで聴いてみました。
(写真は、通勤の愛車を自宅ガレージに入れる五味です)
片道50分前後なので最後まで通しで聴けないのですが、すでに十数回はプレイバックしたでしょうか。
でも、いまだ、楽しめません。その深さが分かりません。
私は、ミスチルやエクサイルが好きでよく聴くのですが、それらポップスと第九の落差は、音楽という世界の広大さ、深さをを感じさせます。
考えてみれば、書かれて以来200年近くもの間、芸術遺産として演奏され、聴き継がれてきた第九を、素養ゼロの私が、そう簡単に楽しめるわけがないのかも知れません。芸術も、学問やスポーツと同様、「参加」するためには訓練が必要なのでしょう。
第九を聴きながら、ふと思ったのです。
住まいづくりも同じではないか。
ミスチルやエクサイルのように、分かりやすく、感情移入しやすい住宅デザインがあり、第九的なそれがある。第九的なほうが、高尚で価値があるというわけではなく、ポップスには第九が持ち得ない価値がある。そしてSUMiZ は、どちらかといえば第九的、あるいは第九を目指すべきではないかと。
建築家にデザインを依頼されるクライアントは、建て売りでは満たされないご希望があるゆえなのですが、そのご希望を、整理、洗練された住まいとして実現した場合、いわばポップス的で分かりやすく、早く、ご希望成就という意味で100点の結果が望めます。
SUMiZ は、お施主様のご希望を「読み」、細部ひとつひとつをディスカッションしつつ設計施工を進めてゆくことは無論ですが──場合によっては当初違和感を与えても──クライアントの生活洞察レベルが深い設計とし、住みこなされるにつれ、なるほど! この手があったかっ! あるいは20年後のリフォームでそのメリットがしみじみ分かるとか、200点、300点の結果をご提供したい。それは、建築だけではなく、「人間」も分かっていないと出来ない仕事なのですが。
(昨日アップした稿の一部を訂正しました)

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