2010年1月28日

「スイス漆喰の家巡り」バスツアーに参加しました



26日(火)、イケダコーポレーションさん主催、「スイス漆喰の家巡り」バスツアーに参加しました。同社は、スイスアルプス産の石灰石を原料に現地生産された本漆喰を輸入、カルクウォールという商品名で販売されています。
今回は、千葉市緑区土気(とけ)におもむき、内外装にカルクウォールを使った住宅4棟を見学、それらを施工された地元工務店専務氏の解説を伺います。
東京駅八重洲口近くのパーキングに朝10時集合、チャーターされた観光バスに乗り込むとほぼ満席でした。参加者は私と同様、首都圏の中小ハウスビルダー。少子高齢化、住宅不況……他と差別化しないと生き残れないという危機感と「自然素材」というキーワードゆえの満席なのでしょう。
4邸見学しましたが、スイス漆喰は高評価できるもので、SUMiZ への採用を検討しようと思いました。
ひとくちに漆喰といっても、それらの物性、単価は様々です。スイス漆喰は、自浄作用、抗菌防カビ性、再石灰化による軽メンテ長寿命等々優れた点が多々あるとのことです。
採用すればもちろん、相応のコストアップにつながります。しかし竣工時、スイス漆喰の外装と、他の単に白い塗り壁の差は、両者を並べて見較べでもしないと、見た目はそう変わりません。
にもかかわらず──漆喰に限りませんが──お施主様にやや高価になる前者を選んでもらうには、住み込まねば感じられないヘルシーさ、10年、20年の、時間軸上のコストパフォーマンスなど、見えず、そこにないことをプレゼンする説得力が、いやそれ以前に、なぜそれを採用したのかという──顧客利益につながる──ポリシーが欠かせません。
しばしば、この種のツアーや建材建具設備の見本市などに参加します。
もちろんSUMiZ をよりよくするための調査、勉強なのですが、他の収穫もあります。同業の方々がどんな姿勢で仕事に取り組んでおられるか肌で感じられることです。このツアーでも、前述、施工と、解説を担当された須藤ホームの須藤専務に共感し、啓発されました。ブレがないのです。たとえば、これと選んだ建材は、少なくとも10年は使い込む。でないと活きたデータが採れない……。
大手と違い、量的経営資源に劣る小さなハウスビルダーの武器は、顧客利益提供のための、独自の、ぶれない方針である。あらためて確認した一日でした。

2010年1月23日

"第九" のデザイン、住宅のデザイン


NHK だかの番組で、フィリップスとソニーによるCD開発秘話をやっておりまして、初めて知ったのですが、CDの音楽データ収録時間が、中途半端な74分になったのは、人類が創造した最高傑作のひとつ、ベートベンの ”第九” (交響曲第9番 二短調 作品125) 4楽章が収録できるようにとのこと。
私は恥ずかしくなりました。今年40歳になるのですが、生涯通じて、第九を──といいますかクラシックを──まともに、一度も聴いたことがなかったのです。
これはある意味ジンセイの喪失ではないかと、第九の CD を買いました、
荏田南から上大岡の会社までクルマで通うので、カーオーディオで聴いてみました。
(写真は、通勤の愛車を自宅ガレージに入れる五味です)
片道50分前後なので最後まで通しで聴けないのですが、すでに十数回はプレイバックしたでしょうか。
でも、いまだ、楽しめません。その深さが分かりません。
私は、ミスチルやエクサイルが好きでよく聴くのですが、それらポップスと第九の落差は、音楽という世界の広大さ、深さをを感じさせます。
考えてみれば、書かれて以来200年近くもの間、芸術遺産として演奏され、聴き継がれてきた第九を、素養ゼロの私が、そう簡単に楽しめるわけがないのかも知れません。芸術も、学問やスポーツと同様、「参加」するためには訓練が必要なのでしょう。
第九を聴きながら、ふと思ったのです。
住まいづくりも同じではないか。
ミスチルやエクサイルのように、分かりやすく、感情移入しやすい住宅デザインがあり、第九的なそれがある。第九的なほうが、高尚で価値があるというわけではなく、ポップスには第九が持ち得ない価値がある。そしてSUMiZ は、どちらかといえば第九的、あるいは第九を目指すべきではないかと。
建築家にデザインを依頼されるクライアントは、建て売りでは満たされないご希望があるゆえなのですが、そのご希望を、整理、洗練された住まいとして実現した場合、いわばポップス的で分かりやすく、早く、ご希望成就という意味で100点の結果が望めます。
SUMiZ は、お施主様のご希望を「読み」、細部ひとつひとつをディスカッションしつつ設計施工を進めてゆくことは無論ですが──場合によっては当初違和感を与えても──クライアントの生活洞察レベルが深い設計とし、住みこなされるにつれ、なるほど! この手があったかっ! あるいは20年後のリフォームでそのメリットがしみじみ分かるとか、200点、300点の結果をご提供したい。それは、建築だけではなく、「人間」も分かっていないと出来ない仕事なのですが。
(昨日アップした稿の一部を訂正しました)

2010年1月19日

年明け早々、3邸着々と竣工に向かっております!


あけましておめでとうございます! 
って、もう20日ですね(焦)
このブログも、30日以上空けての更新(汗)
じつは、ありがたいことなのですが、この年末年始、3物件の施工、多数(?)のご相談、提案が並行進行しておりまして、施工監理やなんやらで目を回しておりました。
南山田の家は、吹き付け──発泡ウレタン充塡──断熱施工を終え(写真)、造作工事も終盤を迎えようとしています。
篠原東の家は、外壁下地セメントボードの施工が始まりました。
鵠沼松ヶ丘の家は大きく、遮音壁、屋上緑化等ユニークな要素もあり、クライアントのS様と1つ1つ詰めています。(右記の通り、今週末に現地見学会を予定しております)
忙殺されているあいだに、次の施工が近づく、めまぐるしい年明けとなりました。
本年は、なるべくブログをさぼらず、このサイトも、炭防蟻や漆喰など、住まいづくりに役立つ自然素材コラムなど、充実させてゆく予定です。
現地見学会だけではなく、本社ショールームでの、お客様の利益になるイベントもできればなどと、いろいろ想を膨らませております。
相変わらず至らない五味ですが、本年もよろしくお願い致します。

2009年12月16日

竣工は、完成ではなく、はじまり



SUMiZ 披露山・陶芸家とサーファーの家、T 様邸の竣工1年点検に伺いました。
LIFE DESIGNS でも紹介させていただきましたが、奥様がプロの陶芸家で、自邸の1階に本格的な陶芸工房と、断熱壁に囲まれた窯部屋を設けています。
工房は機能を優先し、コストを抑えるためにも、ラーチ合板張り・仕上げ無しとしました(写真下)
汚れが気にならず、画鋲でメモを留めたり、木ねじを使って棚を造り付けるなど自在に使えます。
そのラーチ合板壁、しばらくぶりにお邪魔すると、真っ白になっていました。伺えば、ホームセンターでペンキとローラーを買い、ご夫婦で塗られたのこと。
「マスキングが大変だった」「ここちょっと失敗」などと楽しく作業を語って下さいました。プロに頼んだほうが、そりゃあキレイに仕上がったでしょうが、ペンキ特有の暖かみがあり、なによりご夫婦の気持ちがこもって、工房全体が、アナログ的な心地よい空間になっていました。ペンキの上にペンキを重ね、この工房も、ご夫婦と一緒にしんしんと年輪を重ねてゆくのでしょう。
HOUSE + FAMILY = HOME
竣工は、完成ではなく、はじまりです。
T 様邸の陶芸工房は珍しい例ですが、SUMiZ はどの家でも、基礎やスケルトンは万全に、しかしある意味未完成で、オーナー様ご自身が、より心地よい住まい方を考え、発見できる、フレキシブルな暮らしの器であるよう設計しています。


1年点検、ご指摘いただいたのは、玄関ドアの建て付け調整と内装巾木の浮きでした。前者は業者に依頼しましたが、巾木はご主人と五味とで DIY補修しました。私はクルマいじりが好きなのですが、家も然り。自分で手を入れ、暮らしに馴染ませてゆくことは、楽しく、素敵な行いであると、改めて感じました。


PS ■奥様、陶芸体験教室開催のご予定がありますので、ご興味がある方は、こちらまでご連絡ください。

2009年12月3日

シロアリ対策も自然素材で


SUMiZ 南山田の家。基礎が完成し、オーナーの T様ご家族とともに防蟻(シロアリ対策)防腐施工をしました。防蟻には一般に薬剤、つまり殺虫剤を使いますが、それがシックハウス症候群の原因になりかねません。SUMiZ は薬剤ではなく、木質系天然素材──活性炭など──を使います。安全で、効果も高く、アトピー性の喘息を患っておられるお子さまも施工に参加されました。
写真のように、基礎底盤含め隅々まで、さらに上棟後柱に施工することにより万全を期します。
見えなくなる部分ですが、何より優先させるべきはご家族の健康です。薬剤防蟻よりイニシャルコストは若干嵩みますが、住宅の健康を保ち、永く安全に住まえ、長期的維持コストを抑えます。

(炭の効果については、後日詳細コンテンツをアップする予定です)