2010年12月8日

住まいは日々酷使する日用品ですから

■前回に続き、アフターケアについてのお話です。
お引き渡しして2年になるE様邸に、定期点検にお邪魔しました。
クルマの始業点検で、タイヤ、ラジエター液、ブレーキオイル、エンジンオイル等をチェックするように、スマイズの点検も、水回りのチェックに始まるルーティンに従って問題の有無を確認したうえで、お施主様にヒアリングします。
伺えば、フローリングの一部に、埃が線状に付着し、落としにくいとのこと。
点検すると、フローリング敷設後、専門用語で「養生」というのですが、その後も続く施工によってフローリングが傷つかないよう保護するパネルを、固定するテープのノリ跡が一部残っていたことが原因のようでした。
E様邸のフローリングにはメープル(楓)の、無垢材を採用しました。白木で、柔らかい材なので、E様も、強い洗剤を使うと痛めるのでは、というご心配もお感じのようでした。こういうケース、プロの方なら「あれ」と、思い浮かぶでしょう。然り、ドイツ・リボス社のメンテナンスオイルを取りだし、ノリ跡ごときれいにしました(写真)。
もちろん、今回の場合、ノリ跡を残さない仕上げをすべきだったのですが (反省)、住まいは日々酷使する日用品ですので、クルマと同様、使いっぱなしでは多かれ少なかれ問題が発生するものです。日々の手入れが必要。それが快適な暮らしと、ランニングコスト低減をもたらします。
不肖五味、偉そうな言い方を許していただければ、アフターケアは、簡単で、お金もかからない「メンテノウハゥの伝授」だと考えております。

2010年12月6日

お子さまの成長とともに、変わりつづける「白い箱」

スマイズのキャッチフレーズ例です。
造りこむことも、住まいづくりの一法ですが、造りこむことはしばしば、使い勝手を限定し、住まいの可塑性を奪ってしまいます。
住まいは、家族をしっかりと、鷹揚に受け容れる、フレキシブルな箱であるべきです。
よい意味での曖昧さがないと、住まいは、ご家族と成長とともに変化してゆけません。
スマイズのお施主様は、30代の若いご夫婦が多いです。
第一子のご出産を控えておられるとか、まだ小さいお子さまをよりよい住環境で育てたいから、という理由で選んでいただいております。
竣工後、とくにご要望が無くても、年に一度、点検に伺っているのですが、いつもおどろかされるのはお子さまたちの成長です。伺う度に、勉強机のサイズや、本やオモチャが変わっています。「白い箱」である部屋も、壁のデコレーションや、間取りが変わったりしています。お子さまのご成長、それとともに変化しつづける住まい。それらを、年に一度見るのは大きな楽しみです。
■写真は、つい先日お邪魔したS氏様邸、9歳の娘さんの部屋。ピンクの椅子は彼女がIKEAで選んだもの。壁のデコレーションとカーテンはお母様の手製。

2010年11月17日

ただいまSUMiZ 3邸が並行建築中であります

■ご無沙汰しております! 久々のブログです、えー、4ヶ月ぶりの……(汗)
ただいまSUMiZ 3邸が並行建築中で、監理もろもろで現場を飛びまわっており……いや、言い訳は止めておきます。
この多忙な日々のなかで、新たな問題意識、問題解決法が浮かぶなど、Blog ネタはしっかり仕込んでおります。ペースをつかんで、コンスタントにアップするようにせねば、と思っております。
並行建築中の物件は、SUMiZ 鵠沼海岸、森戸、大口(横浜市神奈川区)。来月は上菅田(横浜市保土ヶ谷区)の上棟が控え、明けて1、2、3月には前者3邸が次々と竣工します。
"TOUCH SUMiZ DAY" も9月以降開催できておりませんが、上記4邸のお施主様にお許しをいただき、1邸でも多く、皆様にご体感していただきたいと思っております。
感触、空間感、DESIGN の哲学と便益……SUMiZ と他との違いは、現場で体感されないとわかりませんから。
写真は不肖五味のノートです。いつもこのように広げて、お客様の潜在的ご要望まで聞きとろうとしております。

2010年7月17日

システムキッチンでも、フルオーダーでもない、第3のアイデア


■注文住宅といえ、キッチンはシステムキッチンにせざるをえないだろう。妥協せずに、オーダーメイドという手もあろうが、この予算では……。と、あきらめてはおられませんか?
残念ながら、それが現実です。一般的には。
しかし、不肖五味は思うのです。どんな分野であれ、お客様に、
「なるほどっ、その手があったかっ!」と、驚きと利益を提供するのがプロではないかと(^^ゞ
「家庭の中心は、お母さん、キッチン、食」、スマイズのポリシーのひとつです。
キッチンは、住まいの重要設備。スマイズが提案するオプションのひとつが "Custom Skeleton Kitchen" です。
写真をご覧ください。住まいとともに、妥協せずに、建築家が設計し、現場で、腕の良い大工が製作したものです。
キッチンには、4つの要素があります。1) クッキングカウンター、2) レンジなどのクッカー、3) 水栓とシンク、4) 食器や調理器具などの収納。
この提案では、4) の収納が割愛されています。そこは、センスのいいワゴンを選ぶなり、見せる収納を工夫するなり、お施主様が、使い込みながら、楽しみながら仕上げてゆくのです。このキッチンは、原型、骨格(Skeleton)なのです。(ですからこのキッチンは万人向けではなく、お施主様のご希望を前提とします)。


収納まで造りこむと家具工房にオーダーしなければなりませんが、スケルトンの場合、前述のように現場製作可能で、コストがかなり抑えられます。もちろん水栓やクッカーなど設備は最適なモノを選べます。この例では、クッカーは、ゴトクなどデザインが秀逸で、ダッジオーブン的調理もできる、リンナイのハイエンド・ガスコンベクション(左写真)。水栓はグローエ、浄水器は──飲料や料理に使う水ですから、SUMiZ では標準装備──ビルドインです。
カウンターワイズは実に360cm(!)、その天板は、表面仕上げなどまで細かく指定したステンレスの一枚板を、シンクごとプレス一体成形したもの。脚は米松の無垢材。10年20年と使い込むうち、いい風合いになるはずです。

……とはいえ、SUMiZ は、 "Custom Skeleton Kitchen" やフルオーダーキッチンのみならず、場合によっては、ニトリの15万円のシステムキッチンを採用することもあります。

なんでもあり、ではありません。お施主様のニーズ、コストを読み込み、「編集」したうえでの「最適解」です。

■このキッチンは、
SUMiZ 矢部の丘の例。類例としてSUMiZ 鵠沼海岸。フルオーダーキッチン採用例はSUMiZ 妙蓮寺。あわせてご参照下さい。

2010年7月11日

"頭のよい子が育つ家"


■住宅関連の勉強会に参加してきました。そのプログラムのひとつ、"頭のよい子が育つ家" コンテンツは、SUMiZの住まいづくりに相通じる部分が多く、意を強くしました。

同コンテンツは、有名私立中学に入学したお子さまがいる約200世帯の、住まい、家庭について10年間にわたり調査し、まとめた、書籍および住宅、そのソフト・ハードウエアです。
講演では、10歳児の作文をケーススタディとして紹介していましたが、頭が良い、というのは受験秀才であるというより、他人の立場で考えられるとか、素直で、意欲や創造性があるということと理解しました。
講演は言います。 "頭のよい子" を育てるのは、静かな個室ではなく、「五感が満足できる空間」だと。孤立せず、家族のコミュニケーションを促し、お母さんが作る夕餉の湯気を感じ、お父さんの背中が見える家だと。
具体的には、リビングでのお母さんとテレビと子供の位置関係、子供部屋なるものの定義……、ご興味がおありでしたら同ホームページを参照ください。
http://www.spaceof5.jp/about/episode.html

そうなのです。断熱性や耐震性以上に大切なのは、その住まいで、毎晩どんな気持ちで家族で食卓を囲めるか、毎朝どんな気持ちで眼を覚ませるかということです。だからSUMiZ は、HOUSE DESIGN ではなく LIFE DESIGN と謳い、志しています。住まいは、長時間そこで過ごす「環境」ですから、当然、家族の肉体的精神的健康を大きく左右します。

SUMiZ では、たとえば "Family Dining" をしばしば提案します。
「家庭の中心はお母さん、キッチン、食。調理が、家事ではなく団らんになるダイニング」
http://sumiz.jp/whats/7_rules.html

どんな住まい、暮らしを実現するかは、お子さまを、どう育てるかということとイコールです。

私自身、まだ幼い2男の父親です。ちょっと(かなり?)無理してSUMiZ を建てたのも、のびのびと──有名中学にはとくに入ってくれなくても良いから──願わくば "頭がよい子" に育ってほしいからです。